管理者さんの理念

うちの理念は「人として原理原則に則る行動をし、その人らしさを追求します」です。

では、その人らしさとは何でしょうか?

これは管理者さんの長年の経験からできたものです。

管理者さんが現場で仕事をしていた時のことです。医療行為は様々なことが起こります。痛みを伴う治療。激しい嘔吐。苦しいことを苦しいと言えない状況にもなったりします。ある患者さんが治療をしていました。その治療には苦しみが伴います。その患者さんは治療の苦しみが耐えられません。そのため普段からその治療を避けています。なるべくしないように懇願しています。現場サイドはその治療を続けていかないとよくならないことは百も承知です。しかし本人が拒むのでどうしようもありません。どんどん苦しさが増していきます。でもその治療をしないからと言って命に別条があるわけではありません。ですから医師も看護師も無理にはさせません。でも患者さんはどんどん元気がなくなってきます。

この患者さんは普段から身なりや姿勢はきちんとしていた方です。気品よく佇まい、とても高貴な振る舞いをされる方でした。それがその治療をさけていくせいで体は改善していきません。だからどんどん品行が悪くなっていきます。当時のスタッフさんたちは、あのお方がこのような振る舞いになるのかと少し残念に思っていました。とても憧れていた方がどんどん変わっていく。病気のせいとはいえ、何か別の意味でのつらさを抱えていました。あきらめかけていた時に、もう一度あの振る舞いを取り戻しましょう、と元気な時のお姿と今のお姿の違いを説明しました。するとあれだけ避けてきた治療を自ら受ける、治療の苦しみを我慢してみせると発起してくれました。日々の治療は本当につらいものでした。その治療を受けたからと言って完治するわけではありません。ただ今よりも苦しみが大分和らぐのです。そしてその治療を続けていくことで、体も元気になっていきました。治ることはありません。でもその苦しみに耐えることで、心が元気になっていったのです。体の負担が軽減することでその人の誇りが戻ったのです。

この患者さんの誇りを取り戻したことで治療しているときにもその人の気品が漂います。我慢している苦しい姿もどこか凛としているのです。その甲斐もあって日常生活に華が再び訪れました。どんよりとした曇りのような日常が雨の後の晴れやかな空のようになっているのです。

その姿を見たときに、私の仕事は、体調を整えるのではなく、その人の「誇り」も取り戻す崇高な仕事をしていると改めて実感したそうです。

体はもとのように戻らなくても、心が戻れば、その人は「健康」なのです。年齢とともに体は衰えていきます。それと比例して心も衰えていきます。ただ、心の衰えは体の不調を軽減することで変化します。体と心はセットです。しかし心のリセットこそが体のリセットに繋がると実感します。人はその人らしい誇りをなくしてはどこか沈んでしまいます。気品が誇り、子供っぽさが誇り、一つのことにのめりこむのが誇りなど、誇りこそがその人の価値観を形成してきたものです。今の自分を作り上げてきたのは経験に基づく長年の「誇り」なのです。

うちはご利用者様の「その人らしさ」を追求します。

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